医療のお役立ち情報をお伝えする「福るん日記」へようこそ、
こんにちは、福るんです。
今日は、先日あった嬉しいニュースについてご報告させて頂きたいと思います。
昨年11月に医科大で手術させて頂いた17歳の高校球児が、手術を決心した第145回北信越高校野球石川県大会への出場を果たし、2回戦まで進出することができました!
結果は惜敗でしたが、「キャッチャーとして大活躍できて、ヒットも放ち悔いのない試合をすることができました、ありがとうございました」と先日再診時にそう言ってくれました。
高校球児の青春の一ページに関わることができて私も感無量でしたし、股関節鏡視下手術、、、これまで立ちはだかる困難がいっぱいあったけど、諦めずに頑張ってやってきてよかった、留学した甲斐があった、そう思える瞬間でした。
彼は股関節にFAI(寛骨臼-大腿骨インピンジメント)と呼ばれる股関節疾患を患っており、内視鏡を使った手術を小生がさせて頂きました。
彼はこの疾患のために股関節を深く曲げたり開いたりすることが困難で、十分なパフォーマンスを発揮できない状態にありました。わずか1㎝の傷2,3ヶ所のみで行うこの内視鏡を使った手術で、骨と骨同士の衝突を回避し、損傷した関節唇と呼ばれる股関節内に存在する靭帯を修復することで、彼は深屈曲を強いられるキャッチャーもできるまでに回復したのです。
因みにここまで回復できたのには、実は私だけの力だけではなく、専任で熱心にリハビリ加療を続けてくれた理学療法士T君のストイックなアスレティックリハビリテーションの賜物でもあるのです。いつも私が執刀した患者さんのリハビリを自ら進んで担当してきてくれたT君にこの場を借りしてお礼を言わせてください。
「T君、これまで私の患者さんにいつだって熱い思いで一生懸命リハビリしてくれたこと、本当に感謝しています。ありがとう。」
この疾患自体、まだまだ認知度の低い疾患で、治療の要となる内視鏡を使った手術は、手術自体難易度が高いうえに、病態をしっかり把握しないと適切な治療ができない手術です。
私は、「福るん日記」米国Steadman Philippon Research Institute留学記でご存じの方もおられるように、股関節鏡で世界的に有名なPhilippon先生のところにアジア人で初めて長期留学させて頂いたおかげで、この病態、手術に関しては北陸では誰にも負けない自信がありました。
その恵まれた機会と努力が実を結び、高校時代というかけがえのない瞬間に一縷の望みを託してくれた彼の期待に応えることができたのではないかと嬉しく思っています。医者冥利につきる一日でした。
Feagin先生、先生から頂いたメッセージを座右の銘に、これからも真摯に誠意と「笑顔」と慈しみを忘れずに患者さんと向き合ってまいります。
“Do the right thing, At the right time, For the right reason”
FAI(寛骨臼-大腿骨インピンジメント)に関しましては、月間北國アクタス2020年6月号に稚拙ではありますが、私が書いた記事が掲載されておりますので、関心のある方はご一読頂けますと幸いです。