まる奮闘記

福るん日記

医療のお役立ち情報をお伝えする「福るん日記」へようこそ、こんにちは、福るんです。

ついこの間お正月だったと思いきや、もう如月が終わろうとしています。
毎度毎度で恐縮ですが、time flies! ですね。
遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。今年も一年よろしくお願い申し上げます。

福るん日記もなかなか更新できないまま卯年も2か月が過ぎ去ろうとしているのですが、一念発起しアップデートしています(笑)

今年は新年早々、思いがけないハプニングがありました。
実はプライベートなお話になってしまうのですが、昨年11月に次女がずっと欲しがっていたワンコがひょんなご縁で我が家に来ることとなりました。小生が小さかった頃は犬、猫、鶏と色んな動物に囲まれて生活していました。こっこちゃんが生む卵は格別だった記憶があります。身近に動物がいるのが当たり前だったこともあって、子ども達にも動物が身近にいる環境で育ててあげたいという気持ちがずっとあったのですが、家内共々、子育てに精一杯で全く余裕がなく動物はもう飼えないかなぁと諦めていました。
それが昨年末にご縁があって我が家に初めてチワワのまるちゃんがやってきました。家族みんなが円満にまるく優しくいれますように…そんな願いを込めて長女が「まる」と名付けました。

2022年9月15日生まれ 男の子

我が家は小生以外みんな女性ということで肩身が狭い思いをしてきたのですが、やっと私にも仲間が出来たという思いでした(笑笑)

そんなまるがやっと我が家にも少し慣れてきた今年初めにアクシデントが起きてしまいました…

「きゃい~ん、きゃい~ん、きゃい~ん」

みんながちょっと目を離した隙にソファから落ちてしまったまるがけたたましい声で鳴く声が家中に響き渡ったそうです。…そうです、というのは、土曜日の診療後に小生はいつもお世話になっている小松の髪切屋さんにて1320円でいつものツーブロックカットをしてもらっていた最中に電話がかかってきて、

「まるが大変!脚折れたかも、どうしよう、どうしよう…」

と動揺を隠せない家内からの電話で知ったからです。
慌てて帰宅すると、左脚を全く地面につかないまるがそこにはいました。

家内と二人で近くのA動物病院に連れていきすぐにレントゲン撮影をしてもらいました。

そこの先生曰く、骨は大丈夫そうなので様子見ましょうという診断でした。
職業柄、これまで数えきれないレントゲン写真を見てきましたが、犬のレントゲン写真を見るのはこれが人生ではじめてでした。
人間とよく似ているようで違う部分もあって興味深いなぁと思いつつ、確かに明らかな骨折はなさそうだなと一安心しつつもどこか不安が拭いきれないもやもやした気持ちでいました。

次の日の朝になっても脚をつかないまる。心配で居てもたってもいられない家内が別の動物病院にも連れて行って診てもらいたいと言い出し、B動物病院連れていくことにしました。そこで再度レントゲン撮影をしてもらったところ、どこかもやもやした不安が小生の心の奥底で影を潜めていましたがその不安が的中してしまいます。

「明らかな骨折はないように見えますが、健常側と比較するとちょっと気になる部分があります。骨折の可能性も否定はできないので、東京にいる有名な先生に写真を送って意見を聞いてみます。」

そう言われその病院を後にしました。その日は日曜日だったのですが、その日の午後にその先生から電話がありました。

「骨折しています。しかも厄介な骨折です。手術が必要です。すぐに決断してください。」

家内も私もショックを隠せず落胆してしまいましたが、迷っている時間はありません。どうしよう、どうしようと思いながら、本当に骨折しているのか?という疑念も拭えず何度も何度もレントゲン写真を見直し、結論がでないまま次の日を迎えることとなりました。

眠れない夜を過ごしながら愚生が出した結論。それは、まだ生まれて間もない子犬、人間だったら小児の骨折は保存治療が原則、骨折しているかどうか微妙なくらいのズレしかない骨折なのだから手術なんて必要ない! それが私の出した結論でした。

次の日、私の出した結論に納得のいかない家内がC動物病院にまるを連れて行きました。その先生も骨折を指摘し手術を勧められましたが、後遺症が残る可能性について言及した上でこちらの意向を汲んでギプス加療を選択してくれました。

ここから不安な日々の始まりです。そして、まるにとっては過酷な日々の始まりでした。

ちゃんと治るのだろうか。このまま脚をつけなくなったらどうしよう。自分が下した選択は正しかったのだろうか…そんな不安がずっと付きまとうそんな毎日でした。

ギプスを巻かれゲージに閉じ込められたまる。この過酷な環境に耐えること5週間。犬はギプスが嫌なので自分で噛んで外そうとしてしまいます。もし噛んでギプスを食べてしまうと今度はそれを取り除く開腹手術が必要になるため首にカラーも付けなくてはならず、本当に可哀そうで不憫な1ヶ月でした。

ずっとゲージにいることとカラーを付けているせいで食欲が湧かず、げっそりとやせ細ってしまったまる。でもギプスを着用して5週間、ついにギプスが外せる日がやってきました。
その2週間前のレントゲン写真ではまだ仮骨(骨折部を繋げる新しい骨)が少なく、1ヶ月で外せると思っていたのがもう2週間固定が必要と言われてしまいました。。。

それでも固定開始から5週間、最終検診のレントゲンではその2週間前のレントゲンが嘘のようにきれいにくっ付いていました。人間もそうですが、体の修復力というのはすごいですね。特に子ども(子犬)の修復力はすごいなぁと改めて思いました。

ギプスが外れた初日。ちゃんと脚をついて歩いてくれるのだろうか。もの凄く不安でしたが、そんな不安を知る由もないまるは何事もなかったかのように尻尾フリフリ走り回っていました。

新年早々大変でしたが、まるにはとてもいい経験をさせてもらったと思っています。犬の骨折なんて一生でなかなか遭遇しないことですし、まるには申し訳ないですが整形外科医として人間のみならず犬の骨折を見る機会を与えてくれたことには、ある意味とても感謝しています。
まるの骨折を通して、膝周辺の骨折(人間の)についての知識をブラッシュアップすることもできました。これまで私自身や家族が骨折したことは幸い一度もなかったのですが、皆さまや皆さまのご家族、子どもさんが骨折をしてしまったときの不安な気持ちが身に染みてわかりました。そして動物の骨折は人間とはもちろん違いますし、人間ほど治療経験やデータがないことからわからない部分も多いのだと思いますが、小児の骨折は人間も犬も保存的(手術しない)治療が基本!という骨折に対する考え方は同じなのかなと思いました。

小児の骨折でも手術が必要な骨折はもちろんあります。小児で一番多い骨折は何かご存知でしょうか。
それは上腕骨顆上骨折と呼ばれる肘の骨折です。この骨折はズレが大きい場合が多く、手術による鋼線固定が必要になることが多いです。また、稀ではありますが小児の大腿骨頸部骨折や急性の大腿骨頭すべり症などは緊急手術の適応です。当院では変性疾患による腰痛、膝痛、肩痛、股関節痛などはもちろんのこと、骨折治療や交通事故治療にも全力で取り組んでおります。診療時間を過ぎていてもお電話を頂ければできる限り対応させて頂きますので、外傷や交通事故でお困りの際はいつでもお気軽にご相談ください。

まる奮闘記でした。

 

 

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