腰椎すべり症

ようついすべりしょう

原因と病態

腰椎すべり症とは、腰の部分で背骨(腰椎)が正常な位置からずれた状態をいいますが、腰椎がずれることにより神経の通り道である脊柱管が狭くなります。

加齢に伴って椎間板(腰椎の間にあるクッションとなる組織)や腰椎と腰椎の間の関節である椎間関節が変性し、腰椎が正常な位置からずれてしまうものを腰椎変性すべり症といいます。

特に第4腰椎と第5腰椎の間に生じることが多いといわれています。中年以降の女性に多い傾向があります。また腰椎分離があることで長期間かけて腰椎の変性が進むことによって起こるものを腰椎分離すべり症といいます。

第5腰椎の分離症が多く、その場合、第5腰椎とその下の仙椎の間ですべりが生じます。

症状と診断

脊柱管が狭くなることで神経組織が圧迫されると、さまざまな症状が現れます。

具体的には、長い距離を歩いたり、長時間立っていたりすると腰から足にかけて痛みを生じるようになります。また、足のしびれや麻痺、排尿障害を生じることもあります。

画像上ずれを認めても、症状がない場合があります。

痛みがある場合は、まず、

  • 理学療法
  • 薬物療法
  • 装具療法
  • ブロック注射

などを行います。これらの保存治療で症状の改善がみられない場合には、手術も視野に入れて治療していく必要があります。

レントゲン写真やMRIで容易に診断が可能です。レントゲン写真では腰椎のずれの程度を確認できます。MRIでは神経の圧迫具合を確認することができます。

治療法

一般的な腰椎すべり症では、最初は間欠跛行や疼痛、しびれが主な症状で、運動麻痺をみとめることはほとんどありません。

まずは薬物療法、装具療法、理学療法(物理療法、リハビリテーション)などによる保存治療を開始します。こうした治療が奏効しない場合には仙骨ブロック注射を行います。

保存療法で十分な効果が得られない場合、筋力低下を認める場合などでは手術的な治療を検討します。