けんばんだんれつ
肩が痛くて挙げづらい。それってもしかして…
原因と病態
腱板とは
- 棘上筋
- 棘下筋
- 肩甲下筋
- 小円筋
の4つで構成される肩を動かすスジになります。
この腱板が断裂した状態を指します。
4つのうち、棘上筋腱が最も断裂しやすいです。断裂の原因としては、加齢による腱の変性、肩峰との機械的な衝突、外傷など様々な要因が重なって発症するといわれています。
住民検診による疫学調査では、50歳代では10人に1人、80歳代では3人に1人の割合で腱板断裂が存在すると報告されています。
ただし、腱板断裂があっても臨床症状を認めない無症候性断裂が半数以上占めているともいわれています。
症状と診断
症状を呈する場合には痛みが最も多く、動作時痛とともに安静時痛、夜間痛を認めることも多いです。
夜間就寝時に注意が肩に集中すること、午前2~5時頃の皮膚温が最も低くなることで痛みの閾値が低下すること、臥位になることで上腕骨の下方への牽引が働かなくなり上腕骨頭が上方にいくことで腱板かかる圧が上昇することなどが夜間痛と関連しているといわれています。
診断はMRIや超音波が有用です。
特にMRIは断裂の細かい形態まで評価できて非常に有用な検査になります。レントゲンでも大断裂が長期的に存在する場合には、骨頭の上方化が起きるため診断できますが、そうでない場合はレントゲンで診断することは困難です。
治療法
急性期には注射針で穿刺して石灰を吸引し、その後、ステロイドを注入します。ステロイド注入には劇的な効果が期待できます。
慢性期入り、衝突現象を呈する場合には、保存療法はあまり期待できず、手術療法(肩峰下除圧術、石灰摘出術)が行われます。