シルバ
ワクチン接種後の肩の痛みってもしかして…
SIRVA (シルバ) とは、ワクチン接種に関連した肩障害という意味の英語、Shoulder Injury Related Vaccine Administrationの頭文字をとった疾患名で、ワクチン接種によって起こる肩の障害のことです。
この疾患は、ワクチンを筋肉注射で接種した後に、肩に強い炎症が起こり、痛みや動かしにくさが数年以上続くことが特徴です。
日本ではまだあまり知られていない病名だと思います。新型コロナワクチンの接種を受けた人のうち、0.3~0.5%がSIRVAにかかる可能性があることが分かっています。
特に
- 40代~50代の女性や痩せ型の人
- 糖尿病や甲状腺機能の病気のある人
は、SIRVAにかかりやすいとされています。
原因と病態
原因は三角筋下滑液包(三角筋という肩の筋肉の深い場所にある袋)内への不適切な薬剤注入によると考えられています。
ワクチン接種後数時間から2日間くらい肩関節に強い自発痛を生じ、自然に改善しないことが多いです。
新型コロナワクチンの接種では、三角筋の強い痛みを生じることがしばしばあるため、早期に診断をつけることは難しいのが実情です。
SIRVAには腋窩神経損傷が含まれている場合があります。ワクチン接種後に肩を挙上しにくいなどの症状が出たら腋窩神経損傷の可能性も考えられます。
治療法
放置しても自然治癒は望みにくいため、早めにリハビリテーションを主体とした積極的な治療介入が必要となります。
当院では消炎鎮痛剤の内服とともに、早期から肩関節内ステロイド注射や理学療法士と行うリハビリテーション、自宅で行う運動指導を行っています。
炎症を起こしている部位には痛みが長期化する原因とされる新生血管(モヤモヤ血管)が増加していると言われています。
最近では、その血管を減らすカテーテル治療も有効であることが報告されています。