がいはんぼし
足の親指の付け根が変形して痛い。それってもしかして…
原因と病態
外反母趾とは足指の変形のことで、母趾(足の親指)の付け根の関節が第二趾のほうに“くの字”に曲がったものをいいます。
母趾の付け根の関節は足の内側に大きく突き出し、靴との摩擦で強い痛みが生じるため、歩行障害の原因になります。また、重症の場合には、母趾の付け根の関節が亜脱臼することもあり、手術が必要になることも稀ではありません。
遺伝的な要因の他に、ハイヒールや足先の細い靴を履くことで足先に過剰な力が加わって引き起こします。関節リウマチでもよく見られる変形の一つです。
中年以降の女性に多く見られます。
症状と診断
外反母趾では靴との摩擦が起こりやすくなり、突出部分に炎症や潰瘍を形成することがあります。
ひどくなると、突出部の皮下に浸出液がたまることもあり、腫れや発赤を生じます。これにより、歩行時に痛みを感じ、歩行障害の原因となります。
また、突出部分を通っている神経が障害されて、しびれや神経痛が引き起こされることも多々あります。このようなさまざまな症状が生じると、自然と不必要な歩行や動作を避けるようになります。
これにより筋力の低下が生じて扁平足や開張足を悪化させ、さらに外反母趾を悪化させるという負のスパイラルが生じてしまいます。
さらに症状が悪化すると、歩行時に母趾での蹴り返しが行えなくなるため、代償的に第二趾に過剰な負担がかかり、足の裏の第二趾の付け根付近にタコができることがあります。
また、母趾の外側への屈曲が進むと、母趾が第二趾や第三趾の下に潜り込んで、母趾の付け根の関節が亜脱臼することがあります。
このような状態になると、非常に強い痛みが生じるだけでなく、体重バランスの悪化による歩行障害が引き起こされます。
外反母趾は、外見から診断されますが、その状態を評価するためにレントゲン撮影を行います。関節リウマチなどの病気が潜んでいないか調べるために、血液検査行うこともあります。
治療法
外反母趾には保存的な治療と手術による根治治療がありますが、多くは保存的治療が選択されます。
保存的治療
湿布や消炎鎮痛剤を処方します。また、外反母趾を矯正するための装具や足のアーチ構造を守るための足底板などが用いられます。
生活上の注意として、足先が細くヒールの高い靴を避け、関節の突出部分がこすれない幅広の靴を選ぶことが挙げられます。
また、足のアーチ構造を正常にするための運動も、外反母趾の痛みを改善するのに効果があるといわれています。
当院では靴の「のさか」さんとコラボして靴・インソール外来を開設しておりますので、外反母趾でお悩みの方は是非一度お気軽にご相談ください。
矯正装具を用いても変形が改善せず、歩行障害が重度である場合には手術加が行われます。
一般的に行われる手術では、関節の突出部分を切除し、母趾の中足骨と呼ばれる骨を切って関節の突出を矯正します。