へんけいせいこかんせつしょう
歩くと股関節が痛くてびっこに。それってもしかして…
原因と病態
変形性股関節症とは、股関節に発生する変形性関節症のことで、関節軟骨が擦り減ることにより関節の破壊を生じる結果、股関節に変形をきたす疾患です。
本邦では、股関節の屋根の被りが浅い寛骨臼(臼蓋)形成不全により発症する二次性股関節症が多いと言われています。ちなみに股関節には体重の約3倍の荷重負荷がかかります。
近年、大腿骨-寛骨臼インピンジメントと呼ばれる病態が知られるようになり、従来、原因不明とされていた一次性股関節症の原因の一つとして注目されています。
疫学調査による我が国の有病率は1.0~2.4%で、女性に多い疾患です。
症状と診断
股関節前面の痛みが主体となります。
病初期は動き始めの痛みや、長距離歩行後のだるさなどを認めますが、病期が進行するにつれて痛みは持続するようになり、安静時の痛みや夜間痛も認めるようになります。
関連痛と呼ばれる痛みにより、お尻や太もも、膝に痛みがでる場合もあるため、腰からの痛みとしっかり鑑別することが重要になります。
また、病期が進行すると股関節の可動域制限が出現するようになります。
レントゲン撮影を行うことで比較的容易に診断することが可能です。レントゲンでは関節軟骨は写らないため、隙間として描出されますが、軟骨が擦り減ることで、この隙間が狭くなっていきます。進行するにつれ、大腿骨頭と呼ばれる球形部分が楕円形に変形を来たすようになります。
治療法
寛骨臼(臼蓋)形成不全に伴う変形性股関節症では、関節症が徐々に進行し、ある時期に急速に悪化すると言われていることから、定期的に経過観察が重要です。
- 体重コントロール
- 筋力強化(特に股関節外転筋力)
- 消炎鎮痛剤の服用
- ステロイドの股関節内注射
といった適切な保存的治療を行っても症状の改善が得られない場合、若い方(40歳くらいまで)であれば、早期に屋根の被りを良くする寛骨臼回転骨切り術といった自分の骨で治す手術方法を検討する必要があります。
一方、関節症が進行してしまった場合には、人工股関節置換術の適応となります。近年、人工股関節置換術の耐久性は非常に向上しており、術後20年経過しても、90~95%の方は人工関節が破綻することなく、しっかり股関節機能を保持されています。
ひと昔前は、耐久性の問題から人工関節を入れるならできるだけ遅い方がいいと言われていましたが、前述のように耐久性が著しく良くなったことから、数年つらい痛みを我慢に我慢をして手術するよりも、適切な時期に人工関節に置換し、痛みのない快適な日常生活を送って頂く方が良いと私は考えています。
人工股関節はあらゆる手術の中で、眼の白内障手術と並んで術後満足度が極めて高い手術と言われています。
私はこの手術をこれまで2000例以上執刀させて頂いてきた経験から、北陸では一番上手にできる自信があります。変形性股関節症でお困りの方は、是非一度ご相談ください。