急速破壊型股関節症・大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折

きゅうそくはかいがたこかんせつしょう・だいたいこっとうなんこつかぜいじゃくせいこっせつ

原因と病態

高齢女性に多い股関節症の一亜型で、短期間に関節軟骨が消失、関節の破壊が進行してしまう疾患です。1970年にPostelという人物がこの病態を報告して以来、現在に至るまで未だはっきりとした原因は不明です。

一つの要因として、大腿骨頭の軟骨下で生じた脆弱性骨折が関与していることが報告されています。

ただ、その脆弱性骨折がどうして起きるのかについてもこれまで不明でしたが、私は人工股関節置換術手術に2000件以上携わらせて頂いた経験と股関節鏡手術で、関節内の病態を数多く見てきた経験から、この脆弱性骨折の発生に、関節唇の損傷、とりわけ関節内に挟まりこんだ関節唇によって応力の集中が生じた結果、脆弱性骨折が発生することを突き止めました。

大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折がすべて急速破壊型股関節症に繋がるかというとそうではありません。中には、急速破壊型の経過ではなく、数カ月の経過観察で治癒する場合があります。

この違いがどこからくるのかは現在も不明で研究が続いています。

症状と診断

通常、片側にのみ発生することが多く、強い痛みを認めます。

一方で、股関節の可動域は比較的保たれているというのが特徴です。破壊が進行していればレントゲンで診断は容易につきます。

発症初期ではレントゲンでは診断がつかないことが多く、MRI撮影が必要です。

治療法

破壊が進行してしまった場合には保存的加療は難しく、人工股関節置換術の適応になります。

この疾患に対する人工股関節置換術の長期成績も、通常の変形性股関節症に対する人工股関節置換術と変わらず良好で、安定した長期成績が期待できます。

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